2026年iDeCo改正 完全ガイド — 掛金上限62,000円の衝撃
公開日: 2026-03-26
2026年12月の制度改正により、iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金上限額が大幅に引き上げられます。 2027年1月引落分から適用されるこの改正は、多くの会社員にとって節税額が2倍以上に なる可能性があり、老後資金形成の大きな転機となります。本記事では改正内容の詳細、 節税シミュレーション、注意点まで徹底解説します。
1. iDeCo 2026年12月改正の概要
今回の改正は、確定拠出年金法等の改正に基づき、2026年12月に施行されます(2027年1月引落分から適用)。 主な変更点は以下の3つです:
- 掛金上限額の大幅引き上げ:多くの加入者区分で月額62,000円に統一
- 加入年齢の引き上げ:65歳未満 → 70歳未満に拡大
- 退職所得控除の空白期間変更:5年 → 10年に延長
2. 掛金上限額の変更一覧
最も注目される変更が掛金上限額の引き上げです。加入者区分ごとの変更を以下にまとめます。
| 加入者区分 | 改正前(月額) | 改正後(月額) | 増加率 |
|---|---|---|---|
| 企業年金なし会社員 | 23,000円 | 62,000円 | +170% |
| 企業年金あり会社員 | 20,000円 | 62,000円(企業年金との合計) | +210% |
| 公務員 | 12,000円 | 62,000円(共済との合計) | +417% |
| 自営業(第1号被保険者) | 68,000円 | 68,000円(変更なし) | - |
| 専業主婦(第3号被保険者) | 23,000円 | 62,000円 | +170% |
※ 企業年金ありの会社員・公務員の場合、62,000円は企業年金(または共済)の事業主掛金と iDeCoの掛金の合計上限です。iDeCoの掛金自体は企業年金の掛金額によって変動します。
3. 加入年齢の引き上げ:65歳 → 70歳
現行制度では65歳未満までしかiDeCoに加入できませんが、改正後は70歳未満まで 加入可能になります。これにより、60代後半も引き続き掛金を拠出し、所得控除の恩恵を受けながら 資産形成を続けることができます。
特に、定年延長や再雇用で65歳以降も働く方にとっては、給与所得がある間は節税しながら 老後資金を積み増せる大きなメリットとなります。
4. 退職所得控除の空白期間:5年 → 10年
退職金とiDeCoの一時金を受け取る際、退職所得控除をそれぞれ適用するための空白期間が5年から10年に延長されます。
空白期間ルール
【改正前】退職金受取 → 5年後にiDeCo受取で、それぞれ退職所得控除を適用
【改正後】退職金受取 → 10年後にiDeCo受取で、それぞれ退職所得控除を適用
※ 空白期間内に受け取ると、退職所得控除の重複期間分が減額されます
この変更により、60歳で退職金を受け取り、65歳でiDeCoを受け取る従来のプランでは 退職所得控除が一部減額される可能性があります。受取時期の戦略がより重要になります。
5. 節税シミュレーション
掛金増額による節税効果を、具体的なケースで見てみましょう。
ケース:年収500万円・企業年金なし会社員
改正前:月額23,000円の場合
年間掛金:23,000円 × 12 = 276,000円
所得税の節税:276,000円 × 20% = 55,200円
住民税の節税:276,000円 × 10% = 27,600円
年間節税額:約82,800円
改正後:月額62,000円の場合
年間掛金:62,000円 × 12 = 744,000円
所得税の節税:744,000円 × 20% = 148,800円
住民税の節税:744,000円 × 10% = 74,400円
年間節税額:約223,200円
節税額の差
年間節税額:82,800円 → 223,200円(+140,400円/年の増加)
※ 所得税率20%(課税所得330万〜695万円)の場合の概算。復興特別所得税は除く。
ただし、掛金を増額する場合は手取り収入が減少する点に注意が必要です。 月額62,000円を拠出すると年間744,000円が掛金に回るため、 生活費とのバランスを考慮して掛金額を設定しましょう。
6. 企業年金ありの場合の実質上限
企業年金(確定給付企業年金・企業型確定拠出年金など)がある会社員の場合、 iDeCoの掛金上限は以下のように計算されます:
iDeCoの掛金上限 = 62,000円 − 事業主掛金(企業年金分)
例1:企業型DCの事業主掛金 30,000円/月 → iDeCo上限 32,000円/月
例2:企業型DCの事業主掛金 55,000円/月 → iDeCo上限 7,000円/月
例3:企業型DCの事業主掛金 62,000円以上/月 → iDeCo加入不可
自分の企業年金の事業主掛金額を確認し、iDeCoにいくらまで拠出できるか計算することが重要です。 事業主掛金額は年金手帳や給与明細、会社の人事部門に確認しましょう。
7. 改正に備えてやるべきこと
- 現在の掛金額を確認:iDeCoの掛金額が上限に達していない場合、 改正後に増額を検討しましょう。
- 企業年金の事業主掛金を把握:企業年金がある方は、事業主掛金額を確認し、 iDeCoの実質上限を計算しておきましょう。
- 退職金の受取時期を計画:退職所得控除の空白期間が10年に延長されるため、 退職金とiDeCoの受取時期の戦略を見直す必要があります。
- 運用商品の見直し:掛金増額で投資額が増えるため、リスク許容度に合った 商品配分になっているか確認しましょう。
- 生活費とのバランス:掛金を増やしすぎて日常生活に支障が出ないよう、 無理のない範囲で設定しましょう。
出典:りそな銀行「iDeCo 2026年改正」、楽天証券「iDeCo制度改正」、厚生労働省「確定拠出年金制度の改正について」
よくある質問
iDeCoの掛金上限はいつから変わりますか?
2026年12月の制度改正により、2027年1月引落分から新しい掛金上限額が適用されます。 企業年金なしの会社員の場合、月額23,000円から62,000円に大幅に引き上げられます。
企業年金がある場合のiDeCo上限はいくらですか?
企業年金がある会社員の場合、iDeCoと企業年金の事業主掛金の合計が月額62,000円までとなります。 例えば、事業主掛金が30,000円の場合、iDeCoの上限は32,000円です。 自分の事業主掛金額は会社の人事部門に確認してください。
退職所得控除の空白期間が10年になるとどう影響しますか?
退職金とiDeCoの一時金をそれぞれ退職所得控除を適用して受け取るには、 受取の間に10年(改正前は5年)の空白期間が必要になります。 60歳で退職金を受け取る場合、iDeCoの一時金受取は70歳以降にする必要があるため、 受取戦略の見直しが重要です。