2026年 基礎控除引き上げ 完全解説 — 103万円の壁が123万円に
公開日: 2026-03-26
2025年分の所得税から、基礎控除と給与所得控除が引き上げられ、 いわゆる「103万円の壁」が「123万円」に変わります。この改正により、 パート・アルバイトの非課税ラインが大幅に拡大し、低所得者にはさらに手厚い控除が適用されます。 本記事では改正の全容、手取りへの影響、パート・アルバイトの方への実践的なアドバイスまで 徹底解説します。
1. 基礎控除の引き上げ
基礎控除は、すべての納税者に適用される所得控除です。今回の改正で以下のように変更されます。
| 合計所得金額 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 200万円以下 | 48万円 | 最大95万円(2年間の時限措置) |
| 200万円超〜2,350万円以下 | 48万円 | 58万円 |
| 2,350万円超〜2,400万円以下 | 48万円 | 48万円(変更なし) |
| 2,400万円超〜2,450万円以下 | 32万円 | 32万円(変更なし) |
| 2,450万円超〜2,500万円以下 | 16万円 | 16万円(変更なし) |
| 2,500万円超 | 0円 | 0円(変更なし) |
注目すべきは合計所得200万円以下の方への最大95万円の基礎控除です。 これは2年間の時限措置(2025年分・2026年分)で、低所得者の税負担を大幅に軽減します。
2. 給与所得控除の最低額引き上げ
給与所得控除は、給与収入から差し引かれる控除で、サラリーマンの「必要経費」に相当します。 今回の改正では最低額が引き上げられます。
給与所得控除の最低額
改正前:55万円(年収162.5万円以下に適用)
改正後:65万円(年収190万円以下に適用)
3. 「年収の壁」の変化
基礎控除と給与所得控除の引き上げにより、所得税がかかり始める「年収の壁」が変わります。
| 項目 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 基礎控除 | 48万円 | 58万円 |
| 給与所得控除(最低額) | 55万円 | 65万円 |
| 非課税ライン(合計) | 103万円 | 123万円 |
なお、政府は将来的に非課税ラインを178万円まで引き上げることを目標としていますが、 現段階では123万円にとどまっています。
4. パート・アルバイトへの影響
非課税ラインの変化は、パート・アルバイトの方の働き方に直接影響します。
| 項目 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 年間非課税ライン | 103万円 | 123万円 |
| 月収換算(非課税上限) | 約8.6万円/月 | 約10.25万円/月 |
| 時給1,100円の場合 | 月78時間まで | 月93時間まで |
月収約10.25万円まで所得税がかからなくなるため、これまで103万円を意識して シフトを調整していた方は、より多く働くことが可能になります。
5. 手取り比較シミュレーション
年収200万円の場合
改正前
給与所得控除:68万円
基礎控除:48万円
課税所得:200万 − 68万 − 48万 − 社保料約30万 = 約54万円
所得税(5%):約27,000円
改正後(時限措置:基礎控除95万円適用)
給与所得控除:68万円
基礎控除:95万円(合計所得200万円以下の時限措置)
課税所得:200万 − 68万 − 95万 − 社保料約30万 = 約7万円
所得税(5%):約3,500円
年間減税額:約23,500円(所得税のみ。住民税も含めるとさらに増加)
年収400万円の場合
改正前
給与所得控除:124万円
基礎控除:48万円
課税所得:400万 − 124万 − 48万 − 社保料約58万 = 約170万円
所得税:約85,500円(5%+10%の累進課税)
改正後
給与所得控除:124万円
基礎控除:58万円
課税所得:400万 − 124万 − 58万 − 社保料約58万 = 約160万円
所得税:約80,500円
年間減税額:約5,000円〜10,000円(所得税率10%帯の場合。住民税も含めると約15,000円)
このように、低所得者ほど減税効果が大きく、年収が高くなるほど減税額は小さくなる 傾向があります。合計所得2,350万円を超えると基礎控除は据え置きのため、高所得者への 影響はありません。
6. 注意点
- 住民税の壁は別:住民税の基礎控除(43万円)は別途改正が必要です。 住民税の非課税ラインは自治体によって異なるため、所得税の壁だけで判断しないよう注意しましょう。
- 社会保険の壁は変わらない:106万円・130万円の社会保険の壁は今回の改正と は別の制度であり、変更はありません。
- 配偶者控除・扶養控除への影響:配偶者の年収が123万円を超えても 配偶者特別控除が適用される場合があります。
- 時限措置は2年間:合計所得200万円以下の方への最大95万円の基礎控除は 2025年分・2026年分の2年間限定です。
出典:財務省「令和7年度税制改正」、弥生「基礎控除引き上げ解説」、マネーフォワード「103万円の壁 改正」
よくある質問
103万円の壁は本当に123万円になりましたか?
はい。2025年分の所得税から、基礎控除が48万円→58万円に、給与所得控除の最低額が 55万円→65万円に引き上げられたため、所得税がかかり始める年収ラインは103万円から 123万円に変わりました。ただし、住民税や社会保険の壁は別途考慮が必要です。
低所得者の基礎控除が最大95万円とはどういうことですか?
合計所得金額が200万円以下の方には、2025年分・2026年分の2年間限定で基礎控除が 最大95万円に引き上げられる時限措置が適用されます。通常の58万円に比べて37万円多く 控除されるため、低所得者の税負担が大幅に軽減されます。
パートの月収いくらまで所得税がかかりませんか?
改正後は年収123万円まで所得税がかからないため、月収換算で約10.25万円(123万円÷12ヶ月) まで非課税です。改正前は月収約8.6万円が上限だったため、月に約1.65万円多く稼いでも 非課税となります。